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デジタルな戯言

ホットなIT関連のニュースを取り上げたり、学業、仕事、趣味について記事にしたりしてます。

兵役と携帯禁止令

私にはKという韓国人の友人がいる。

ある日、私と彼は一緒にランチを食べており、どのような経緯かは詳しく覚えていないが(恐らく日本と韓国の文化の違いについて)、話の流れで韓国の兵役の話になった。

私は日本にも数人韓国人の友達がいるため、ある程度彼らから兵役についての話は聞いていた。だが、一人一人の韓国人から聞く話が少しずつ違っていたため、幾つか気になっていた点を聞いてみた。

 

  1. 韓国人の友人が度を超えて太れば兵役に行かなくて済むと言っていたが、本当なのか?
  2. 学歴があれば軍の中でも楽な部署に行けるというのは本当なのか?
  3. 兵役の有無が就職に響くというのは本当なのか?

 

彼の答えは、1.No 2.Yes 3.No であった。

 

 

彼が言うには、どんなに太っていても兵役を逃れることはできないらしい。あまりにも運動神経が悪かったり、運動が不可能な程に太っていると判断された場合は通信などの比較的体を動かす必要の無い部署に配属されることはあるが、太っているからといって兵役を逃れることはできないそうだ。

学歴に関してはその通りだと答えてくれた。そもそも、軍からしても頭の良い人は体を動かすよりも医療関係や軍事研究に回ってくれた方が良いため、そういった意味で優遇されるそうだ。"楽な部署"に行けるということではなく、体を動かす必要が無いため体感的に"楽な部署"を選ぶ権利を得られるということなのだ。

最後の質問に関しては、彼は少し躊躇した後で"関係ないだろう"と答えてくれた。確かに履歴書には兵役の有無は絶対に書かなければいけないし、書類選考の時点で兵役の有無が少なからず影響することはある。だが、兵役に行っていなくともある程度の学歴があれば書類で落とされることはないし、面接まで持っていければ後は個人のスキルが一番大事なのだそうだ。

あくまで彼の考えであり、一般常識や事実とは異なる可能性があるという断りは入れられたが、とても参考になる意見だった。

最後に、私にはまだ兵役に行っていない韓国人の友人が数人おり、彼らが兵役に行くことをとても嫌がっていると伝えた。

 

すると、彼は目を輝かせて

"No! No one can avoid it! I'm done!!"

と言い放った。

 

少し背筋に冷たいものが走ると同時に、私は中高時代のことを思い出していた。

 

私は中高一貫校出身で、中学生は携帯電話やゲームの持ち込みが許されず、高校生は自由に持ち込むことができた。私個人は現在この制度に対して何の感情も抱いていないが、中学生であった当時は不平等性を感じていた。

"中学生は駄目なのになんで高校生はいいんだ"

というものである。この意見の是非はともかく、当時私たちの中で、この違いに不平等を感じていた生徒の割合はとても多かったように思う。部活でも、3年生の先輩と一緒に"なんであいつらは良いのに俺らは駄目なんだよ"などという会話をたまにしていた。

ところが、その先輩方が高校生になった瞬間、手のひらを返したように"中学生に許すのは早すぎる"という意見に変わったのだ。

私たちは失望し、自分たちが持ち込めるようになったらそれでいいのかよ、と互いに嘆き合ったものだ。

時は流れ、今度は私たちが高校生になった。その年は例年以上に中学生が活発で、生徒総会(労働組合の生徒版のようなもの)にて中学生の携帯やゲーム持ち込みを許可する校則改正の草案が出されていた。

私は当時生徒会に加入していたため、投票や会議に出席していたのだが、私を含め賛成する高校生は皆無だった。

"俺は耐え抜いたんだ、お前らに許す道理はねえよ"

ということである。

 

ランチを終え、寮に戻った後で少し考えてみた。

この私の経験とKの発言には近似している点が幾つかある。韓国も日本も共に中国から多大なる影響を受けた国家であり、私たちの文化には多くの共通する考え方が含まれている。

今回は兵役と校則というかなりベクトルの違う二つを比べたが、このような思想が当てはまるケースなど探そうと思えば幾らでも見つかるだろう。

自分の経験や苦難を、自分の後を追う者に強制するような思想、平等や横並びを是とする考え方は、私たちの生活の至る所に蔓延している。

グローバル化に合わせて少しずつ変わって来ているとはいえ、数千年の歴史に根付いた強固な思想は並大抵のことでは崩れない。

なにも両国の文化や兵役、更に言えば私の出身校の方針を批判しているわけではない。それらの是非について議論をしようと思えばとてもこの記事では書ききれないし、私個人が幾ら考えても結論がでる話ではない。

 

だが、過去には自分も無意識に持っていたこれらの考え方に、形容しがたい薄気味悪さを感じることも事実なのだ。

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